2018年は、台風や地震が重なり、自然災害の多い年となっています。
自然災害により物流が麻痺すると、スーパーマーケット等の小売店で商品が品薄になります。
2011年の大地震では、被害が比較的小さかった首都圏のスーパーでも、パンやインスタント食品といった保存性の高い食品が陳列棚から姿を消しました。
このとき、品薄の原因となっていたのは、物流の問題だけではありません。
「食べ物が手に入らなくなる」という恐怖心から、住民が「パニック買い」に走ったことも原因であると、当時、問題視されていましたね。
今回は、パニック買いを引き起こす認知の歪みについてご紹介します。
「必要」宣言は、不安とパニックを生み出します。もしあなたが部屋に閉じ込められ、5分後に部屋の空気が全て抜かれると知ったら、あなたはどう感じるでしょう。おそらくパニックに陥り、時間がたてばたつほど、ますます不安になるでしょう。なぜですか?それは、あなたが空気は生きるために必要だと知っているからです。
それとは対照的に、地元のスーパーでお気に入りの朝食用シリアルがもう入荷されないことがわかったとしましょう。あなたは多分がっかりするでしょうが、先の例のようにパニックになったりはしないですね。それはあなたが、お気に入りの朝食用シリアルを単に欲しいだけとわかっているからです。あなたには、それが絶対的に必要なわけではない(もちろん食べ物は必要ですが)。これが必要と願望の違いです。
(リワーク配布資料より抜粋)
本当に「必要」なものは、無くなったときに生命が危険に晒されるものだけです。
お気に入りのシリアルが生産中止になっても、別のシリアルを食べればいいのです。
これを機会に、朝の主食をパンや米に切り替えても良いくらいです。
お気に入りのシリアルは、絶対に「必要」なものではなく、欲しいという「願望」があるだけです。
しかし、もし「必要」と「願望」を混同してしまったら、お気に入りのシリアルがいつものコーナーから消えているのを見て、まるで空気を吸うことができなくなったかのようにパニック状態に陥ってしまいます。
さて、2011年の大地震を振り返ったとき、首都圏のお住いの方は、冷静に行動ができたでしょうか。
スーパーには入場制限がかかり、食品は、ほとんど品切れ状態がしばらく続きました。
買い物かごに大量の菓子パンを詰め込んでいた客の姿を、今でも私は覚えています。
食べ物は生きるために必要なものなので、自宅に食材の備蓄が無かった方は、半ばパニック状態になっても仕方なかったかもしれません。
しかし、必要以上に食料を買い込み、食べきれずに腐らせてしまった方は、「必要」と「願望」を混同して思考エラーを起こしていたかもしれません。
誤解のないように言っておきますが、災害時に大量の食料を買い込むのが必ずしも悪いことだとは決めつけていません。
いつ物流が正常化するのか、当時の買い物客には予測できませんでしたから、ひょっとしたら大量に菓子パンを買い込んだ人だけが生き残るという結末だったかもしれません。
(本当にそうなったら日本滅亡レベルだと思いますが…)
私がここで言いたいことは、絶対にこれが「必要」だと感じたときに、本当にそうなのか、「必要」と「願望」を混同していないか、一度冷静になることが大切であるということです。
以上
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<まとめ>