世の中は、矛盾に満ち溢れています。
人間の心も、矛盾だらけです。
「心配している方が安心する。」
「幸せ過ぎて怖い。」
このように、対極にある感情が同時に出てくることがあります。
今回は、15番目の思考エラーです。
「心配の魔法」について解説します。
あなたが心配していることは、実際にどのくらいの頻度で起こりますか?もしあなたがあまり心配しない性格なら、あなたの答えは「あまり起こらないよ」でしょう。あることを何年も心配した挙句、その心配事が現実にならなかったとしましょう。そのような場合、私たちは無意識のうちに「心配すればそれは起こらないのだ」という考えを抱きがちです。この「結びつけ思考」によって、私たちは「心配すれば嫌なことは起こらない」と信じてしまいます。その結果、私たちは心配しないことを恐れるようになります。
心配はロッキング・チェアーに座って揺れているようなもの。
あなたは何かをしているが、
どこにも行けない。
(リワーク配布資料より抜粋)
未来のことは、誰にも予測できません。
データからも、経験からも、あるいは歴史からも、これから起こることを100%の確度で言い当てることはできません。
確かに先を見越して準備することは大事ですが、予期できないことまで心配しても、ただの徒労に終わってしまいます。
人間には予知能力は備わっていないので、世の中は不確実であることを受け入れるしかないのです。
職場にも、心配することで安心するタイプの人が多いですよね。
私は仕事の関係で、「働き方改革セミナー」のような講演会に行く機会が多いのですが、いろいろな話を聴く中で、部下を長時間残業させる上司の共通項に気付きました。
それは、「自分の保身のために、無駄な資料を大量に作らせる上司」です。
例えば上司から、こんな指示を受けたことがありませんか?
「この資料の詳細なデータが見たいと言われるかもしれない。」
「この案件に関連した過去の事例を5年分遡って参照したいと言われるかもしれない。」
「他社の動向をベンチマークするように言われるかもしれない。」
ちなみに、私の職場では、「かもしれない」は、ほとんど当たりません。
的外れな心配事で、いつも振り回されているのが日常風景です。
ビジネスにおいて、先読みをする力は重要なスキルです。
しかし、「先読みできることと、先読みできないことを見分ける判断力」は、それ以上に大事だと思います。
このような分別が無いと、心配することで安心感を得る思考エラーに陥ってしまうのです。
以上
次:【思考エラー16】うつ病の原因は、「不合理な定義づけ」なのか?
<まとめ>