うつ病の原因が仕事の場合、働き続けながら治療することは困難です。
すぐにでも休んだ方が、早期の回復に繋がります。
以下の3ステップを踏めば、治療に専念する時間とお金が得られるはずです。
1.主治医に診断書を書いてもらい、会社を休職する。
2.加入している健康保険から傷病手当金を受給する。
3.自立支援医療制度の適用を受ける。(医療費が1割負担になります。)
※詳細は、以下の過去記事に書いてます。
日本の社会保障制度は、それなりに充実しています。
しかし、世間体とか、プライドとか、いろいろなものが邪魔をして、素直に社会保障制度を利用できない人も少なからずいるようです。
私自身、薬を飲みながら無理して働くことに限界を感じながらも、人様に迷惑をかけまいと歯を食いしばって会社に通い続けました。
今思うと、謎の努力でした。苦行の先に、悟りはありませんでした。
ついに希死念慮にまで襲われて、やっと休職を決断するに至りました。
クソ真面目だった私が、死を選ばず、休職して生きる道を選択できたのは、社会保障制度を利用すること自体には抵抗感が無かったからだと思います。
私は、社会保障制度について、少年時代に母から一つだけ教わりました。
「働けなくなったら、生活保護という制度があって、国からお金がもらえるよ。」
「日本は、働けなくなっても生きていける国なんだよ。」
私の実家は、生活保護とは縁のない中産層の家庭でしたが、生活保護受給者を卑下することもなく、こんなことを母は教えてくれました。
当時は、何のことだかよくわかっていませんでしたが、この言葉のおかげで罪悪感を持つことなく社会保障制度を利用できたのだと思います。
もし、社会保障制度を利用する人たちを厳しく非難する両親のもとに生まれていたら、今でも薬を飲んで会社に行ってたかもしれません。そう考えるとゾッとします。
社会保障制度に関する教育は、社会科の公民でサラッと教わる程度でしたが、もっと深く踏み込んで勉強する機会があれば良かったと感じています。
生活保護についてネットで調べていると、「ナマポ」というキーワードが出てきます。
一般的には、生活保護受給者を卑下する言葉として使われています。
この「ナマポ」という言葉は、日本人が経済的にも道徳的にも貧しくなったということを象徴しています。
自分より弱い立場(だと思ってる)人を叩いたところで、自分が裕福になるわけではありません。
社会保障の予算を削れば、その原資は自分のところに回ってくると本気で信じているのでしょうか?
それよりも、自分が生活保護の申請に行く可能性の方が高いかもしれないとは考えないのでしょうか?
「情けは人の為ならず」
「困ったときはお互い様」
こういった美徳なんて、とっくの昔に忘れてしまった人が多いのでしょう。
こんな時代ですから、世間の目は厳しく、芸能人による生活保護の不正受給スキャンダルを皮切りに制度に対する批判は一気に高まりました。
そして、今年2018年10月に、めでたく生活保護費は引き下げられました。
生活保護受給者を批判していた人たちは、さぞかし溜飲が下がっているでしょう。
まさか国民の方から生活保護費を下げてくれなんて言い出すとは、国にとっては願ってもないチャンスだったはずです。世論に後押しされて、生活保護基準の見直しをやりきりましたね。
本当に、日本人は真面目で勤勉ですね。(棒読み)
私には、こういった一連の流れが、セーフティネットを自ら壊していくスタイルに見えてなりません。
日本人も、随分とロックな生き方をするようになりましたね。
ところで、生活保護制度の現状については、厚労省が定期的にレポートを公開しています。
批判者の中に、このレポートに少しでも目を通した人がどれくらいいるかも気になるところですが、肝心なのはその中身です。
(生活保護制度の現状について/厚労省HPより)
平成27年の不正受給件数は、約4万件でした。
受給者数は、200万人を超えています。
200万人中の4万件が多いか少ないかは捉え方次第ですが、ほとんどの人は正当な理由で受給しています。本当に困っているのです。
感情論で、「芸能人が不正受給している。不正受給が蔓延してるから生活保護費は引き下げろ!」という世論に乗っかることは、とても危険です。
自分で事実を確認して、自分の頭で考えないと、簡単に扇動されちゃいます。
扇動されることの怖さは、少しでも歴史を勉強したことがあれば、わかるはずです。
今の日本は、コロッとあらぬ方向に世論が傾いてしまう土壌が出来上がっているように思えてなりません。
以上