※写真はイメージ画像であり、記事の内容とは関係ありません。
近年、社会問題となっているパワーハラスメント(通称:パワハラ)。
最悪の場合は従業員の命を奪ってしまう深刻な問題です。
私たち労働者は、パワハラには断固として「NO」と言わなければなりません。
しかし、パワハラの定義は曖昧であり、「これはパワハラに該当するのか?」とモヤモヤしたまま、うやむやにしてしまいがちです。
そこで、パワハラの判断において一つの手がかりになる「判例」について紹介し、労働者の立場でコメントをしていきたいと思います。
このシリーズの執筆にあたっては、厚生労働省の運営する「あかるい職場応援団」というWEBサイトを参考にさせていただきます。
結論としては、会社および上司が、被害者に対し連帯して15万円の損害賠償額を支払うよう判決された事件です。
つまりパワハラが認められた事件ということですね。
この事件のポイントは以下の通りです。
①工場で危険行為を繰り返すことに対して叱責した。
→パワハラに該当しない。
②休むことを上司に直接連絡しなかったので、反省文を書かせた。
→パワハラに該当する。
被害者は、事務員には年次休暇の連絡をしており、他の従業員も事務員だけに連絡して年次休暇を取得することがあったようです。
一方、上司は、年次休暇は上長に直接連絡するものだと考えていたため、被害者を執拗に叱責するに至ったようです。
つまり、申請手続き上のちょっとした意識の違いによる過誤に対して、反省文まで書かせるのはいかがなものか?という判決が下ったのです。
この事件の加害者とされる上司は、裁判の中で、「いささか感情に走りすぎた嫌いのあることは否めず・・製造長としての従業員に対する指導監督権の行使としては、その裁量の範囲を逸脱し、違法性を帯びるに至 るものと言わざるを得ない」と指摘されています。
工場勤務のような危険を伴う業務であれば、安全を守るために、ときには厳しく指導する必要があるのかもしれません。
しかし、日頃から厳しく指導するあまり、些細なことにも感情的に反応してしまうことは、管理監督者として相応しくない態度なのです。
繰り返しますが、叱責が合法だと認められるのは、それ相応の危険や損害を回避するという目的があるときだけです。
立場の強さを利用して、些細なことで叱責することは、パワハラ以外の何ものでもありません。
東芝府中工場事件においても、暴言や人格否定といったパワハラワードには言及されていませんでした。
反省文を書かせるという、ネチネチとした執拗な叱責が問題視されたのです。
オフィス勤務においても、「てにをは」の使い方が気に入らないという些細な理由で、部下を立たせて長時間叱責するような指導は、適切ではないかもしれません。
私たちは、職権乱用を決して許してはならないのです。
以上
【参考サイト】